けったいな代物

雑文を公開してみる、のが趣旨です。勉強したことのアウトプットができたらいいけど多分駄文だらけになるでしょう。

向井秀徳に憧れてしまって

真っ当に生きてきたつもりだが、何処かで大きく人生の歯車が狂ってしまったらしい。と言うことを大学生活半ば、いわば大学生としての円熟期、夢と希望に溢れた大学二回生である俺が言うのは非難轟々、ヤフコメは荒れに荒れるに違いない。しかしそれは外見にすぎない。外野は好き勝手に僕のことを批評する、はっ、やってられないぜ。俺だって辛いんだぜ、と被害妄想、そして自己陶酔。確かに俺はまだ若いし、無限の可能性が開けている。OK、それは認めよう。しかしだ、こんな俺だって毎日不安で夜も眠れないんだ。可能性が開かれているってのは、まだ進むべき道が決まっていないってことさ、おれは暗い森の中を手探りで進んでるってわけだ。と、まあいつもどうりの独り言、ヤフコメに俺の名前が乗るなんぞ夢物語に過ぎない。せいぜいN国でも見て色々学ぶんだな。お前はただの無名で無能な二十二歳、名無しのまま老いぼれてく夢見がちな一日本男児に過ぎないんだぜ、と自己批判、若干強く殴りすぎて今俺はキーボードの前でしくしくと泣いている。六畳一間でナンバーガールを聞きながら泣いている。

 

ところで俺の人生は一体どこで狂っちまったんだ。と後ろを振り返るとびっくり仰天、人生の過程で仕掛けられた少しばかりの地雷を、俺はまるで狙ったかのように踏み歩いて来たらしい。もぐらたたきの要領で、地雷があるとわかったらすぐに飛びつく阿呆、それでいて毎度重症には至らないのが憎らしい。ただコケてばっかりだ。主人公になんてなれやしない。

 

だからどうも私小説は書けない。中の下の人間の葛藤なんぞ誰が読むのか、やるからには下の下に。太宰治に、中島らもに、町田康に。いや、彼らはモテそうだな。根本的に違う、むしろ憧憬の対象だった。

 

とまあいつもの通り長くなってしまった前置き。前置きだけ書いてりゃ楽なんだ。脳みそを空っぽにして響きだけで書いていけるからな。

 

ところで、向井秀徳というおっさんがいる。先日46歳の誕生日を迎えた。ナンバーガールZAZEN BOYSのフロントマンとして絶賛活動中だ。ナンバーガールの復活は記憶に新しい。

 


Number Girl - 透明少女 (Live from RSR FES 1999)


Zazen Boys - Asobi 7.19 2018

 

まあこのおっさんのかっこよさは動画を見てもらえばわかる。わからなくてもしょうがないとは思うが。

 


向井秀徳による YUI「CHE.R.RY」のカバー

 

適当な動画を探していたら小一時間経ってしまった。そして酒が飲みたくなった。飲む。乾杯。

 


Number Girl - ZEGEN VS UNDERCOVER (Live from FUJI ROCK FESTIVAL 2001)

 

YouTubeのコメ欄を見てもらえばわかるだろうが、向井秀徳のファンは熱狂的である。彼の一挙手一投足を大声で笑い、愛している。例えば向井秀徳がインスタントラーメンを作る動画。

 


向井秀徳 インスタントラーメンを語る

 

これのどこが面白いのかと聞かれても困る。事実俺はこの動画を友人に紹介して首をひねられ若干引かれたことがある。しかし俺ら、向井秀徳を愛してやまない者達にとって、この動画はどんな動画よりも笑えるのだ。俺達にとって、向井秀徳松本人志よりも、有田哲平よりも優れたコメディアンですらある。

 

とまあ、向井秀徳に対する思いは書ききれないし、正直ギターを弾かない俺にはわからない魅力もたくさんあるだろう。そうした熱情を書き連ねるのは他のブログにでも委ねよう。ところで俺達向井チルドレン(俺は向井秀徳の影響で眼鏡をかけるようになった。楕円形の金縁のやつ。それ以来俺は自分のことを向井チルドレンと呼んでいる。あ、一人だから向井チャイルドか。いやそれは弱そうだ、却下)は、というか俺は、自然な流れで向井秀徳みたいになりたいと思うようになった。彼の人間性に少しでも近づけるようになりたいと願った。ロックバンドをやることはないだろうが、俺は向井秀徳のように自信満々で、心地よくも高圧的な人間になりたいと思った。

 

となると、やはり形から入るのが筋、というより形から入るのが楽だ。というわけで俺は向井秀徳の愛するものを愛さねばならんだろうと思うようになった。そして彼の行動を真似しようと思うようになった。

 

つまり酒である。煙草である。それでもやっぱり蘇る性的衝動である。

 


ZAZEN BOYS - 自問自答 @ TOUR MATSURI SESSION

 

俺はステージ上で酒を飲みながら、煙草を吸いながらパフォーマンスをするのだ。ロックンロールじゃねえか。しかし俺は楽器が弾けないし歌も下手くそだ。だから、彼のエッセンスを俺は輸入するんだ。

 

黒ラベルを飲みながら授業を受け、灰皿片手にプレゼンテーションをする。向井秀徳は仕事の最中に酒を飲み、煙草を吸った。俺は大学生だ。勉強が仕事だ。だから酒を飲みながら勉強する。

 

 ん?これは格好がよろしいのか?

 

俺はいいちこソーダ割りを片手にロシア・フォルマリズムについての発表をする。質問の時間はアンコールの時間だ。アンコールを受けた俺は缶ビール片手に大学院生、教授の質問に答えていく。そして最後には乾杯、ロックスターよろしく壇上を去る。

 

 ん?

 

困った。ただの迷惑な男に成り下がってしまうのである。そして、ナンバーガールを毎日聞くのだから毎日酒を飲むようになる。この嫌煙時代に喫煙者になってしまう。

 

向井秀徳向井秀徳たらしめているものは何だったのか?俺は大きな思い違いをしていたのかもしれない。憧れの人間の真似しやすいところを真似していったら、俗物になってしまった感がある。ロック界の奇才に、酒を飲んだらなれるわけもないだろうが。よく考えたら大多数のおっさんは酒が好きじゃねえか。普通のおっさんになっちまっただけじゃねえか。あ、ちょっとビールがなくなったのでコンビニで買ってきます。

 

 ん?

 

しかしまあ、酒はうまいしそれでいいか。向井秀徳も酒が好きなのは間違いないのだし。とりあえず乾杯しよう。冷えているうちにビールを飲もう。そしてキンミヤ焼酎でチューハイを作ろう。浜風でもつまみながら。